混声合唱組曲「海の墓標」について

2012 CONCERT 演奏曲
●混声合唱組曲「海の墓標」について

 戦時下の労働力不足を補うため、植民地化した朝鮮半島からの強制連行は、72万人を越えるといわれています。その半数は炭鉱で重労働を強いられ、きびしい監視のもとで、無権利・低賃金、安全無視のなかでの労働を強制されました。朝鮮人137人を含む183人の犠牲者がいまだに海底に眠ったままの山口県宇部市の長生炭鉱の水没事故は、そうした強制連行労働者の悲劇の一つです。
 徳山市の女声合唱団コール・ヴィリアが、この悲劇を合唱曲にと考え、詩を芝 憲子氏に、曲を池辺晋一郎氏に委嘱して1993年につくられたのが女声合唱組曲「海の墓標」です。
 海底炭鉱労働の危険性ときびしさ、事故の生々しい状況、強制連行そのものの告発を歌い、贖罪と世界平和へのレクイエムからなる六章の鎮魂合唱組曲です。池辺氏は「これは『悪魔の飽食』に連なるものだ」と考えたと述べ、「『哀号』という言葉の痛切な響きと、…『アリラン』の優しい旋律が、作曲中の私を捕らえて離さなかった」といっているように、海を越えた名曲につくりあげられています。
 今回の演奏に向けて、吉田 要氏が混声合唱組曲に編曲し、初演するものです。

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Kaiteitankou ピーヤと呼ばれる、海底炭鉱の通気口。いまも海上に墓標のようにそびえている

Junansyanohi 長生炭鉱跡に立つ慰霊碑

碑文には、犠牲者の多くが朝鮮人労働者であったことは記されていない

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